日本ソマリア青年機構 基幹プロジェクト

「Movement with Gangsters」

1. Movement with Gangstersとは?

ケニアのソマリア人難民居留民居住区において、当該地域の治安悪化の主要因であり、潜在的自爆テロリストといわれるソマリア人ユースギャングの「積極的社会復帰」を支援するとともに、彼らの「更なる過激化防止」を目指すプロジェクト。

2. 発足の背景/プロジェクト概要

第1、2回現地渡航活動時に実施した現地ニーズ調査により、当機構の主な活動地であるケニア・ナイロビのソマリア人難民居留民居住区「イスリー地区」において、深刻な治安問題の改善が希求されていること、そして特に窃盗や殺人といった犯罪に手を染めるソマリア人ユースギャングが治安悪化の主要因であることが判明しました。 更に一部のユースギャングは、ソマリアに拠点を置くイスラム過激派組織アル・シャバーブのリクルート対象ともなっており、将来的にソマリアや周辺国で発生するテロの担い手となる可能性が憂慮されていました。

 

しかしその一方で、私達と同世代であるユースギャングは紛れもない「ユース」であり、その若さゆえに「社会を変革する主体者」ともなり得ます。すなわち、彼らを犯罪者として弾圧するよりも、ユースとして受け入れ、エンパワーメントするほうがより有意義であるはずです。

 

このような視座に立ち、一般的な社会復帰の中で行われる職の斡旋といった手法ではなく、対話を通じて「私達と共に社会を変革する仲間」として彼らを迎え入れ、彼らの中に社会変革の主体者としての自覚を生み出すことで、ユースギャングの「積極的社会復帰(=社会に対して能動的に働きかけている状態)」を目指しています。また、それと並行し、彼らの「更なる過激化防止」という点に向けて様々な策を講じています。これら2つの目的を達成することは、当該地区における治安問題の改善、更にはソマリア・ケニア及び周辺国におけるテロ行為の未然防止にも繋がっていくと考えています。

 

※本プロジェクトの実施には各種基金より助成をいただいております。

 詳細はこちらをご覧ください。

3. 具体的な取り組み

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1人のギャングに対し1年半(プロジェクト実施数約3回)かけてプロジェクトを行うことで、「社会変革の主体者」としての意識を強め、積極的社会復帰及び再過激化防止を達成します。

 

ユースギャングのプロジェクト参加形態としては、「リターニングギャングシステム」を導入しています。本システムにおいては、1回目に参加するユースギャングは「参加者」として参加することで自身の可能性や潜在能力、受け入れてくれる社会の存在に対する意識を醸成します。2回目では、「スタッフ」として当機構と雇用契約を結び、プロジェクトスタッフとして運営の一部を担うことで責任感を持ち行動することを目指します。スタッフとしての参画を経験した後の3回目は、「ボランティア」として他のギャング達を導く存在として無給でプログラムに参加します。このような段階を経たプロジェクト参加により、社会への主体性や私たちへの仲間意識、社会復帰への自信が醸成され、積極的社会復帰への意識が高まることをねらいとしています。

 

1年半で実施する本プロジェクトでは、日本メンバー渡航時の1ヶ月間に行う意識改革プログラム(①参加型講義と議論、②社会貢献活動、③修了式)・修了式にて行うライフスキル講座と、日本メンバー帰国後の5ヶ月間に行う薬物更生プログラムカウンセリング、また参加者の段階に応じたスキルトレーニングプログラムの提供と就労支援により成り立っています。

 

 <日本メンバー渡航期間(1ヶ月)>

◆意識改革プログラム/ライフスキル講座

① 講義+議論(ワークショップ)

ユースとして積極的に行動を起こし社会に貢献することの意義をユースギャングに伝えると共に、彼ら自身が抱える問題を自分たちで議論し、その解決策を考える機会を設けます。

 

② 社会貢献活動

ワークショップで出された問題に対する解決策を、社会貢献活動としてユースギャング主導で実際に実施し、社会に対して合法的な手段で行動した経験を得る機会を設けます。

 

③ 修了式

最後に、ユースギャングが行った社会貢献活動に対する一般社会からの賞賛を示す場として、ゲストによるスピーチ、プロジェクト修了証と少額の金銭の授与を行います。これによりユースギャングの中に、自分たちを受け入れてくれる社会の存在への気付きをもたらします。また、地域ユースリーダーと協働し、ギャングではなく1人の「ユース」として生きる術を学ぶ「ライフスキル講座」も提供します。

 

<日本メンバー非渡航期間(5ヶ月)>

◆薬物更生プログラム

多くのギャングは、薬物依存に悩まされ日常生活を健全に送ることができていません。薬物更生プログラムでは現地の専門的な機関と協働しカウンセリングや心理的トレーニングの実施を通じて薬物依存状態の緩和を狙います。

 

◆カウンセリング

カウンセリングでは、当機構日本メンバーが月に1度参加者に連絡しユースギャングとの仲間意識の持続を目指します。また同時に、現地機関に委託し対面でのカウンセリングも実施しています。

 

◆スキルトレーニング

スキルトレーニングでは、積極的社会復帰に向けた自信の醸成を狙い、現地教育機関と協働し、プログラミングや経理のスキルなど実際的な職の獲得に必要なスキル取得に向けたプログラムを提供します。また地域ユースリーダーと協働し、ギャングではなく一人の「ユース」として生きる術を学ぶ講義を提供しています。

 

◆就労支援

就労支援では、実際に社会に復帰することの1つの形である職の獲得に向けて、現地NGOや識者に調査を行い、現地での就職に向けた有益な情報を提供します。

 

 

4. プロジェクト実施報告

過去の実施内容はこちら

〜プロジェクト第6弾〜

(第9回現地渡航活動時 2016/9/3~9/6)

 

第9回現地渡航活動時に開始した「Movement with Gangster」第6弾は、本プロジェクトの第2世代として初めて実施するものでありました。第2世代では従来から取り組んできたユースギャングの「積極的社会復帰(社会に対して主体的に働きかけている状態)」に加え、彼らの「更なる過激化防止」を目指します。(詳細は上記「2.発足の背景/プロジェクト概要」をご覧下さい。) 

 

今回のプロジェクトでは、ギャングではなく一人のユースとして生きる術を学ぶ「ライフスキル講座」や薬物依存状態からの脱却を目指す「薬物更生プログラム」、現地での就職に向けた有益な情報の提供を行う「就労支援」を新たに実施しました。参加者からは「プロジェクトを通して今後に希望を持つことができた。薬物をやめて、社会復帰したい」など好意的な感想を聞くことができ、有意義なプロジェクトとなりました。 

 

今回プロジェクトの参加者は、新規参加者21名、スタッフ(プロジェクト2回目の参加者)6名、ボランティア(プロジェクト3回目以上の参加者)4名の総数31名となりました。プロジェクト第1、2日目の「議論」では、ギャングを取り巻く問題(雇用機会の欠如、教育の欠如、社会からの差別、薬物濫用)について、その背景や原因、解決策について意見を出し合いました。スタッフギャングのサポートを受けることで、先述の問題の解決を諦めてきた新規参加者達も、次第に有益な意見を出すことができるようになりました。話し合いの中で「これらの問題の根底には社会からの差別や自分たちへの無理解がある」という意見に強い賛同が得られたため、問題解決に向けた翌日の「社会貢献活動」では、同じ地域に住む若者と対話(ユースカンファレンス)を行いました。このユースカンファレンスは、ギャングへの認識を改め、彼らへの差別を軽減することを目的に実施しました。最終日は終了式に先立ちライフスキル講座を実施しました。最後に修了式にて、当機構やゲストスピーカーを含めた「社会」からギャングの合法的で自発的な行動に賞賛の意を示し、意識改革プログラムを終了しました。 

 

今回のプロジェクト第6弾の成果としては

①プロジェクトの中で参加者に積極的に議論する機会を提供したことで、彼らの中に社会を変革する主体者としての意識を醸成することができた点 

②議論を通して、ギャング達に社会と対立するのではなく、話し合いの姿勢を持つことの重要性を認識させ、またその話し合いの結果好ましい結果を獲得できるという経験を与えられた点

③リターニングギャングが積極的かつ主体的にプロジェクト運営側として働いている様子を確認できた点

④Youth Conference後に現地の若者のギャングに対する人認識が変化し、彼らを受け入れる姿勢を醸成することができた点

 

以上4点が挙げられます。

※プロジェクト参加ギャングの安全を考慮し、画像の一部にモザイク加工を施しております。

【御寄付のお願い】

当機構は、皆様から頂く御寄付によってのみ活動を実施することができています。支援の手が行き届かないソマリアの未来を切り拓いていくために、またギャングが自爆テロリストにならないために、皆様の温かい御支援をどうぞ宜しくお願い致します。

御寄付はこちらより

 


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